巨大“規制”に挑む!

2016/11/22(火)22:00
 スーパー特売の常連商品、牛乳。一方で、生乳から作るバターはここ数年、なぜか品不足が続き、価格は10年間でおよそ40%アップ。「今年のバター不足は去年より深刻だ」と、あるベーカリー店はバター確保に躍起だ。いったいなぜ「バター不足」は起きるのか。現場を追ってみると、ある巨大な“規制”の存在が浮かび上がってきた。その存在が、バター価格上昇の一因にもなっているという。
 実は今、それを打ち破ってバター不足をなくしたうえ、酪農家の自由な経営、商品流通も勝ち取ろうと立ち向う人がいた。“巨大規制”との対決の行方は…。「バター不足」という日常風景から、日本が抱えている大きな課題の解決策を模索する。
 一大観光地・箱根に本拠を構える「箱根ベーカリー」。厳選した素材と職人技で焼き上げるパンが人気だが、実は今、あるピンチに直面していた。パン作りに欠かせないバターが足りないのだ。ここ最近、毎年のようにニュースで取り上げられる「バター不足」。実は消費者だけでなく、ベーカリーをはじめ様々な業者にも影響が広がっていた。
 箱根ベーカリーが頼ったのは、群馬県伊勢崎市の「MMJ」という会社。いま、全国の酪農家から注目されている企業だ。社長の茂木修一さんは酪農家から直接生乳を買い付け、牛乳をつくる中小の乳業メーカーに販売している。茂木さんは早速、仕入れた生乳で箱根ベーカリーのためにバターを作ってもらおうと加工会社を訪ね歩くが、返ってくるのは「担当者が不在」という返事。
 実は生乳取引は、国などから指定を受けた「指定団体」と呼ばれる組織が国内の生乳流通の95%を取り仕切っている。全国で10の指定団体があるが、すべて農協の組織だ。一方、「MMJ」は指定団体から独立して生乳を流通。つまり加工会社は、MMJと取引すると「指定団体」から睨まれ、生乳を融通してもらえなくなることを恐れているのだ。
 茂木さんが「指定団体」に立ち向かって生乳を流通させるのには理由があった。「指定団体」に出荷すると、酪農家が生産量や価格を自由に設定することは難しいのだ。実はこの「指定団体」をめぐる生乳の流通のなかに、バター不足の一因が隠れていた。果たして茂木さんは、箱根ベーカリーにバターをもたらすことはできるのか…。
 一方、酪農家の間にも、茂木さんと取引して自由な酪農運営を目指そうという人が現れるようになった。北海道のとある地方の酪農家の男性も、その一人だ。MMJに生乳を出荷するためには、これまで取引してきた地元の農協との契約を解除する必要がある。しかしそこには、思わぬ“壁”が…。
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