後悔しない“供養”

2018/02/06(火)22:00
 亡くなった大切な人をどう見送るか、残された家族の選択肢が広がるなか、身内を亡くした人たちのなかで、「弔いきれなかった」と後悔している割合は45%に上るという。およそ半数の人が、納得する供養ができていない、と考え、悩んでいる実態が浮かび上がる。
すっかり様変わりした「お墓事情」。今の時代、“供養の形”はどうあるべきなのか…。旅立つ人、残された人、それぞれにふさわしい供養を見出そうと挑戦する人たちを追い、考える。
 東京・港区のホテル。首都圏などに暮らすおよそ150名が集まった。手にしていたのは、なんと亡くなった家族の位牌…。実は、このホテルで開かれたのは、「お盆の合同法要会」。寺との付き合いが薄い都会では供養をする場がなく、供養したくてもできない“供養難民”が増えているのだ。
これを主催したのは、浄土真宗の僧侶・新田崇信さん。新田さんのお寺は、都心のマンションの一室。供養に悩む都会の人々が、頻繁にやって来るという。そのうちの一人は、3年前に夫を癌で亡くしたが、闘病で大金を費やしたためお金がなく、墓を買えないまま。遺骨を納められずに、新田さんに預けていたのだ。新田さんは、そんな家族のために遺骨を預かっている。
 地方から移り住む人も多い東京では、自分が入る墓を持たない家庭が約4割もいるという。都営住宅に暮らす田中家(仮名)もその一つ。福島出身の父は故郷に本家の墓があるが、五男のため、墓には入れなかった。田中家は墓がなく、自宅に父の遺骨を保管していた。大好きな父のために、墓を建てたい田中さん。しかしやはり、墓は高くて買えない。そんな田中さんのために新田さんが提案したのは、意外な“供養の形”だった…。
 鎌倉に暮らす東郷俊宏さん。5年にわたって寝たきりの母の介護を続けてきた。一日中介護が必要な母ため、勤めていた大学を退職。“付きっきり”の介護をこなしている。
 しかし去年7月、医師から「余命1週間」を宣告されることに…。「母との思い出が詰まった自宅から母を送り出したい」と願った東郷さん。「鎌倉自宅葬儀社」の馬場翔一郎さんを訪ねた。ここは、自宅で手作りの葬式をあげる手助けをする会社だ。東郷さんは、母の死に備えて事前相談にやってきたのだ。
自宅での手作り葬に、決められた葬式プランはない。遺族の希望をもとに、一から作り上げていく。東郷さんの希望は2つ。ひとつは母親の想い出の味「ハヤシライス」を、弔問客に振る舞うこと。もうひとつは、母親が好きだったクチナシの花を飾ること。しかしそれは、“季節外れ”の願いだった…。
 馬場さん、東郷さん一家のために一体、どんな葬式を用意するのか。そしてその葬式を経て、東郷さんは再び、自らの人生を歩み出すことはできるのか…。
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