元銀行マン!異色の僧侶が挑む 築地本願寺経営大改革

2019/11/28(木)22:00
400年の歴史を持つ東京の大名刹が“開かれた寺”を目指し大改革を行なっている。仕掛け人は4年前に寺のトップについた元銀行マン。「企業も寺も古いビジネスモデルでは生き残れない!」と、保守的だった仏教寺院をビジネス視点で改革し、参拝客が倍増。経済界でも注目の的となっている。異色の僧侶が打ち出す、時代に合わせた寺改革の全貌。

《あの築地本願寺に墓が持てる!? 人の拠り所になる「開かれた寺」作り》
東京・築地で、誰もが一度は目にしたことがある巨大なインド風の建物。敷地に入るのに躊躇してしまう雰囲気を漂わせているのが築地本願寺だ。その築地本願寺がいま、“開かれた寺”を目指し大改革を行っている。問い合わせが殺到しているのが、境内にできた「合同墓」。過去の宗教宗派は問わず料金は30万円から。年間の管理費も不要で、毎日法要が行われる。2年前の開設以来、予約が殺到し、既に7000人を超えている。また、参拝後にくつろげるようにと境内にはカフェをオープン。18品が楽しめる朝食セットは、インスタ映えする話題となり、朝から行列ができる人気ぶりだ。さらにオシャレな仏具や雑貨900アイテムをそろえた土産店や精進料理の書籍などを販売するブックセンターもあり、本堂では月に1回、パイプオルガンを使った無料コンサートも開催している。こうした取り組みで、家族連れや若い女性など、これまで寺に縁が無かった人たちを取り込み、参拝者は250万人と倍増。いまや築地本願寺は思わず立ち寄りたくなる寺なのだ。その仕掛け人が元銀行マンの僧侶・安永雄玄だ。江戸の昔、寺は信仰だけでなく、戸籍管理や教育、経済活動の場であり、庶民の頼れる存在だった。安永は、かつてのように寺が人の拠り所となるよう、時代にあわせて“リブランディング”しているのだ。異色の僧侶が打ち出す「開かれた寺」作りに迫る。

《元銀行マンの挑戦 生き残りをかけた築地本願寺経営大改革!》
大手銀行で辣腕を振るい順風満帆だった安永。しかしバブルが崩壊し経営が悪化・・・   安永は銀行に見切りをつけコンサルタントの道へ進むのだが、ある日、運命的な出来事が訪れ50歳で僧籍を取得、ビジネスマンと僧侶の二足のわらじを履くことに。異色の経歴を持つ安永は、浄土真宗本願寺派の有識者会議に呼ばれるようになる。寺は長年、檀家制度によって地域住民と様々な結びつきを持ち、お布施や寄付金で安定した運営をしていたが、少子高齢化や核家族化が進み、檀家制度は崩壊。本願寺派の約半分は、年間の収入が300万円に届かず、寺の修理さえできないところも多かった。安永は現在の寺へのあり方に疑問を投げかけたが、古参の僧侶たちから「寺は金儲けをするところではない」と反発を受ける。だが安永は、「企業も寺院も同じ。古いビジネスモデルでは生き残れない!」とビジネス的な視点で寺の改革を唱えつづけた。2015年、安永は築地本願寺の宗務長に就任。安永が取り入れたのが、一般企業では当たり前の「顧客主義」だ。即ち、お寺でいうところの「受け手」を大切にするということ。僧侶達に、現状分析やマーケティングの必要性を植え付け、大胆な意識改革に取り組む。生き残りをかけた築地本願寺の経営大改革の全貌とは。

《時代に合わせた新たな寺 現代版・駆け込み寺!?》
安永は築地本願寺を出ての取り組みも始めた。東京・銀座に作ったのは、その名も「築地本願寺銀座サロン」。「心と体を豊かに」をテーマに、終活セミナーをはじめ、太極拳やヨガの講座も開いている。またお坊さんが様々な悩みや相談を聞いてくれる「よろず僧談」も。葬式やお墓の相談だけでなく、人間関係やパワハラなど、現代ならではの悩みを聞いてくれる、さながら「現代版の駆け込み寺」だ。安永は言う、「宗教法人も株式会社と同じコーポレーション。株式会社は利益を株主に配当する役割があるが、我々には株主はいないので、それを公共にかえせばいい」。安永が考える、時代に合わせた新たな寺の役割、そして寺の未来とは。
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