膨らむ!“食パン”戦国時代

2019/05/07(火)22:00
今も大ブームが続いている「高級食パン専門店」。1本1000円近くするが、連日大行列の店も珍しくない。全国で出店が相次ぎ、今まさに“戦国時代”。そんな中、“売れるパン屋の仕掛け人”は今回新たに和惣菜の老舗と組んで、いままでにないパンを作ろうとしていた。さらに、“誰が作ってもおいしい食パンができる”というコンセプトで全国展開を狙う企業も現れた。膨らみ続ける“食パン市場”、その知られざる戦いの現場を取材する。

■出店すれば必ず行列店に!“売れるパン屋の仕掛け人”
西武池袋線の清瀬駅に降り立つと、怪しげな店の看板が見えてくる。その名は「考えた人すごいわ」。連日大行列のこの店は去年6月にオープンした「高級食パン専門店」だ。客の目当ては、少し甘みがあり、焼かずに食べても美味しい“生食パン”。一番人気は「魂仕込(こんじこみ)」2斤サイズで864円。このパンを求めて遠方からも客が訪れるという。この人気店をプロデュースしたのが、「ジャパン ベーカリー マーケティング(JBM)」の岸本拓也社長(43歳)。パン屋の新規開店や既存店の売り上げ改善などの支援ビジネスに取り組んでいる。インパクトのある店のネーミングと絶品の味でこれまで「コッペパン」や「クリームパン」などの専門店を100店舗近く手がけてきた。そんな岸本さんのもとには新たにパン屋を開きたいというオファーが絶えない。月に4〜5店舗のペースで出店させ、いずれも行列店にしているのだ。そんな“売れるパン屋の仕掛け人”が今、改めて注目しているのが高級食パンだという。「食パンは食卓に欠かせない。ブランド化をすれば、激戦の中でも必ず繁盛店をつくることができる」と語る岸本さん。今後も積極的に仕掛けていく構えだ。

■和惣菜の老舗が挑む・・・驚きの和テイストの食パンとは
岸本さん率いるJBMの指導の下、食パン専門店のオープンを目指している会社がある。東京・大田区に本社をもつ「佃浅商店」という和惣菜の店だ。創業135年。厳選食材と職人の手作りにこだわった「和惣菜」を製造し、百貨店などで販売しているが、ピーク時に比べ、売上げが1億円も下がっているという。大きな危機感を抱くのが2年前に社長を引き継いだ、7代目の杉原健司さん(40歳)。「これまでの伝統を守りながら、何か新しいことをやって行かないと生き残れない」、そう話す杉原社長は、JBM岸本さんに依頼。自社工場の一角を改装して「食パン専門店」をオープンさせることを決意した。オープンは4月下旬。岸本さんが新店舗の責任者として抜擢したのがJBMの今井美希さん(28歳)。パン職人歴8年の今井さんはこれまで様々な店舗でその店の売りになるパンを作り上げてきた。今回のミッションは、佃浅の強みである“和総菜と一緒に食べてもおいしい食パン”を作ること。さっそく開発に取り組むが、これまでに挑戦したことのないコンセプトに悪戦苦闘。果たしてどんな「和のテイストの食パン」が焼き上がるのだろうか?

■全国“どこでも”“誰でも”絶品パンが作れる!?
高級食パン専門店がしのぎを削る東京・銀座で、去年9月のオープン以来、連日完売を記録しているのが「銀座に志かわ」。商品は1本864円の1種類のみ。その特徴は、ほんのり甘く、淡雪のような口溶けで、耳まで柔らかいこと。そんな「に志かわ」はいま全国展開を加速している。銀座を皮切りに、大阪や京都などに出店し、1年足らずで全国6店舗に増えた。そのコンセプトは、「誰が作っても、おいしい食パンが作れる」ということ。「に志かわ」の製造責任者、パン職人歴50年の山本厚さんは、「パンづくり未経験の人でも1カ月の研修と、独自のシステムを使えば、本店と同じ味が実現できる」と話す。次に出店が決まっているのが名古屋の店。ここのスタッフも全員がパン未経験者だ。オープンは4月。その究極の仕組みとはいったいどんなものなのだろうか。
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