シリーズ「あなたの“愛用品”その行方」(3)“眠った服”の活かし方

2019/07/23(火)22:00
不要になっても捨てずに持ち続ける…日本人の美徳と言われる『もったいない』の精神。
しかし、見方を変えれば、それらは「タンスの肥やし」にすぎない不要品だ。最近では、こうした不要品をメルカリなどフリーマーケットアプリを利用して個人間で売買する人が増え、中古品の売買市場はかつてないほどの活況ぶりをみせている。その市場規模は約1.8兆円とも。
一方で、今だに家の中に眠る、使わなくなった物や洋服、いわゆる「隠れ資産」は37兆円にものぼるといわれている。この眠れる金鉱を独自のアプローチで掘り起こそうとする様々な企業が出現、激化するリサイクル業界のいまを追う!

次世代の「洋服お直し屋」が挑む“タンスの肥やし復活作戦”
大阪市西区。おしゃれな洋服店やカフェが並ぶ堀江エリアの一角にある
「Salon du reDESIGN Closet.net」。(2016年オープン)
一見、お洒落なカフェに見える店舗の中に入ると・・・工房ではミシンがけをする職人の姿が。
併設するカフェでは、工房の中を見ながら服が生まれ変わる時間を楽しむ客の姿も。
ここは単なる寸法直しだけでなく、客のどんな要望にも対応する「洋服リフォームの店」。
しかし、いわゆる街場の“お直し屋さん”とは一線を画す。
工業用ミシンと種類が豊富な糸をそろえ、デザイナーやテーラー出身のスタッフがお直しに加えて洋服のリデザインを提案する「次世代の洋服お直し屋」を打ち出している。
「体型が変わり履けなくなった思い出のジーンズをバッグに仕立て直して欲しい」という依頼や、「バブル時代に流行した肩が張った形のスーツ」が持ち込まれれば、今風の柔らかいシルエットに仕立て直すのだ。
 運営するのは大阪に本社を置く「ホープインターナショナルワークス」。有名セレクトショップのOEM(相手先ブランドによる生産)を手掛けるアパレル商社だ。
代表の高村三礼社長は「家庭のクローゼットに眠る“着られていない服”はおよそ10億着。この宝を掘り起こせれば大きな市場になる」と考え、一般消費者向けの洋服直しサービスを新規事業として立ち上げた。
 今までにないコンセプトの“お直し”を集客の起爆剤にしようと、百貨店も注目。現在、西武池袋本店と、そごう千葉店の店内にも出店している。
しかしここで、予想外の事態が…。当初予定した客への引き渡しの納期は2週間。しかしバックヤードには、まだ手をつけられていない大量の服がびっちりと並んでいた。
高村社長は「想定以上の依頼があったことと、リメイクは手作業のため人材の確保が追いつかない」。アパレル業界の縫製工場が海外に移転した結果、国内の人材の確保が追いついていないというのだ。
せっかく立ち上げた、新ビジネスの行方は…。

「どこでも買取り」で反転攻勢を狙うリサイクルチェーン
岡山県を拠点に全国で約60店舗を展開する「ベクトル」。古着を中心に取り扱う中堅のリサイクルチェーンだ。いま好調なのは送料無料の宅配買取システム、1日に200箱以上、月に10万点以上が全国から届き、査定買取りをしている。
その一方で大きな課題が…。「メルカリ」などネットで売買する人が増えた影響で店舗に古着を持ち込む人が減ってしまったのだ。実は3年前まで90店舗以上を展開していたが、今はその6割ほどに店を減らしていた。
「ネットなどを積極的に利用しない人たちの中にも“隠れ資産”はまだまだあるはず…。そこをいかに掘り起こすかが店舗を持つリサイクルショップの生命線」と考えた、ベクトルの村川智博社長。そのために村川さんが手を組んだのが、「バンク」というITベンチャー企業だ。「バンク」は売りたい服のブランドや種類などの簡単な項目に答えてスマホで撮影すると自動で査定してすぐに現金化できるという革新的なアプリ「CASH」を開発した会社。
 村川さんは「バンク」と共同で「CASH」を店舗向けに進化させた「CASHプロ」を開発し、専門の査定スタッフがいなくても「誰でもどこでも査定・簡単買取りができる」というシステムを実用化しようとしていた。この「CASHプロ」を主婦や年配客などが日常的に利用しているスーパーなどに設置して買取りの窓口を増やし「買い物などの“ついでに古着を売る”」という習慣を作り出すのが狙い。
この「CASHプロ」にいち早く興味を示したのが、全国に7000店舗を展開するクリーニングチェーン「ホワイト急便」だ。まずは1店舗で買取サービスをテストし、需要が確認できれば全国展開も検討するという…果たして、結果は出るのか。
さらに村川さん、さらなる一手も。それは「無人の古着買取りシステム」!? その効果は…。
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