~シリーズ「あなたの“ゴミ”その行方」(2)~“脱プラスチック”に挑む!

2019/11/26(火)22:00
今年1月に放送した「あなたの“ゴミ”その行方」では、私たちの生活や経済活動から出たプラスチックゴミに対して処理が追いつかない深刻な状況や、代替品の開発の難しさを取材。反響を呼んだ。
しかし、「脱プラスチック」への道は始まったばかり。国立科学博物館の田島木綿子さんは、巨大なクジラの死体からプラスチックゴミによる海洋汚染の実態を探るべく奔走する。一方、「レジ袋禁止」、全国初の条例化を目指すのは京都の亀岡市。市民や事業者からの反発を受ける中、市の担当者は軌道に乗せることはできるのか?さらに、当のレジ袋メーカーは生き残りをかけ、「世界初」という新たなレジ袋の開発に乗り出した。
世界規模の環境問題の渦中で奮闘する人々の姿から「光」は見えるのか?

■海の汚染実態に深く切り込む 国立科学博物館
プラスチックゴミの生態系への影響が叫ばれている。3月中旬、フィリピン南部の島に打ち上げられたクジラの胃からは、重さ40㎏にもなる大量のプラスチック袋が見つかった。このクジラの主食はイカで、エサと間違えて食べてしまったとみられている。同様の事例は世界中で報告されている。
「死んだ彼らのメッセージを伝えたい。私はその翻訳者」。そう語るのは国立科学博物館・田島木綿子研究主幹だ。クジラの漂着は全国で年間約300件。知らせを受けると現地へ駆けつけ、専用の刃物を使って死体を解体。その後、解剖し死因などを突き止める。そんな生活を20年近く続けてきた田島さんが、新たな研究に着手した。テーマは「クジラの胃内容物とマイクロプラスチック」。そこから「海の汚染実態に深く切り込む」のだという。マイクロプラスチックは有害な化学物質を吸着しやすく、魚などが食べてしまうと体内に蓄積・濃縮され、生態系に悪影響を及ぼすことが懸念されている。彼女の研究に今、世界が注目している。

■全国に先駆け、レジ袋「禁止」へ 京都府亀岡市
去年12月、京都府亀岡市が前代未聞の政策を打ち出した。「プラスチック製レジ袋禁止条例」。「有料化」ではなく「禁止」―。2020年3月に議会へ条例案を提出、夏の施行を目指す。従わない事業者には指導・勧告を行い、名前を公表するなどの罰則を設けるという。
 市が規制に踏み切るのは、プラゴミが観光や環境に大きな影を落としているからだ。亀岡から嵐山まで約16㎞。豪快に水しぶきを上げながら渓谷の中をすり抜けていく保津川下り。しかし、豪雨のたびにレジ袋やペットボトルなどが大量に流入。「せっかくの景観が台無しだ」と利用客から苦情が寄せられていた。保津川はまた、大阪湾に流れ込んでいるため、海洋汚染を加速させる恐れもある。
「脱プラ」を追い風に、一気に政策を推し進めようとする亀岡市。しかし、環境政策課の山内剛課長は「事業者や市民の理解が思うように得られない」と肩を落とす。豆腐屋の店主は「商品からは水分も出る。代わりに紙袋でというわけにはいかない」と憤る。消費者からも「生ごみを捨てるレジ袋がないとプラスチック製の別の袋を買うことになる。果たして削減につながるのか」といった声があがる。目下、「最大の難関」はコンビニだという。コンビニ各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会と協議を続けるが、「レジ袋なしではおでんや温めた弁当はどうすればいいのか、来夏の施行はあまりに拙速な判断」と手厳しい。

■逆境を乗り越え、チャンスを掴み取れるのか? レジ袋メーカー
押し寄せる脱プラの波に、レジ袋メーカーは悲鳴をあげる。プラスチック製品製造の福助工業(本社:愛媛県四国中央市/創業:1910年/従業員数:約3000人/売上高:約1000億円)は、レジ袋メーカーとしては最大手で、国内生産のシェア6割以上を占める。しかし、レジ袋の使用量は最盛期に比べ半分以下に減った。
「だが、それは今に始まったことではない」と営業業務部長の大野輝幸さんは言う。石油資源の枯渇、ダイオキシン汚染、地球温暖化…。レジ袋はそのたびに槍玉に挙げられてきた。
しかし、海洋汚染に端を発した近年の脱プラの動きは「いままでとはまったく次元が異なる」という。たしかに、ここ10年でスーパーを中心にレジ袋の有料化は進んだ。しかし、コンビニやドラッグストアは依然、無料配布のまま。影響はある意味で、限定的だった。
それが今回は、政府によるレジ袋の有料化義務付け。スーパーやコンビニなどで来年7月から全国一律で実施される予定で、もはやダメージは「決定的」だ。
かつてない危機をどう乗り越えていくかー。そこで福助工業が着手したのが、かつてない、環境に優しいレジ袋の開発だ。
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