ニッポンの“食”を守る!~コロナショックを乗り切れ~

2020/03/24(火)22:00
新型コロナウィルスにより様々な業種に影響が出る中、大きな打撃を受けているのが外食産業だ。キャンセルが相次いだため行き先を失った食材は多く、そのロスは店の経営を直撃している。そんな窮地を救う可能性を秘めた、革新的な技術やアイデアに取り組んでいる企業がある。
肉を短期間で熟成させる“不思議なシート”を開発した会社。新たなチャレンジは、様々な魚を熟成により風味を引き上げ、さらに「鮮度維持」もするというもの。成功し広まれば、魚の物流に革命が起きるとも言われている。
一方、「食品ロス」を缶詰で解決しようという会社。取り組むのは、「価値があるにも関わらず処分されてしまう」食材の活用。今回は、肉のスジや脂身などを使い、美味しい缶詰を作ることに挑む。
そして、その2つの会社が、新型コロナウィルスの影響で打撃を受けている飲食店、食材を扱う業者を救おうと動き出していた。

■「不思議なシート」が物流に革命を起こす!

・熟成肉の仕掛け人
牛肉を一定期間寝かせることで旨味を引き出す「熟成肉」が数年前からブームとなっている。その仕掛け人が「フードイズム」の跡部美樹雄社長(44)だ。従来の熟成肉は、自然浮遊する菌を頼りにしていたため、熟成に長期間(40〜50日)を要し、腐敗と隣り合わせで歩留まりも悪かった(50〜60%)。跡部社長は、明治大学と共同で牛肉を簡単に短期間で熟成させる「エイジングシート」を開発。肉を熟成させる菌だけを布に満遍なく付着させ、その布を肉に巻くことで熟成させる独自技術だ。これにより従来のものに比べて口溶けが良く、肉質も柔らかく、腐敗臭も抑えられた香りのいい熟成肉を作ることに成功。熟成期間は20日程度と大幅に短縮し、歩留まりも80〜95%と飛躍的に改善した。
跡部さんは、千葉県の高校を卒業後、調理専門学校に。和食割烹で板前として修行した後、餃子専門店を開き独立。その後、熟成肉の専門店でブレークした苦労人。
・熟成肉の次は熟成魚
その跡部さん、「エイジングシート」を使って次なる一手に打って出た。それは、様々な魚の発酵熟成。すでにマグロなどでは成功させているが、今度は養殖の銀ダラやブリでチャレンジするという。実は今回のテスト、狙いは「風味のアップ」はもちろん、冷凍しないで「魚の鮮度を維持させる」ことにあるという。つまり熟成を施すことで「美味しく食べられる期間」を伸ばそうというのだ。魚食品加工卸の大手と組んで試行錯誤が始まった。肉より劣化が早い魚。熟成で新たな可能性が見えれば、「廃棄ロスが大幅に減り、魚の物流にも革命が起きる」と跡部社長。しかし、養殖魚には独特のにおいが…果たして?
地方の漁場や水産会社、スーパーにも恩恵をもたらす可能性を秘めた“不思議”なシートの挑戦を取材。
・新型コロナウィルスで窮地の飲食店を救う!新たな挑戦は…
 そして今、跡部さんは、新型コロナウィルスの影響で打撃を受けている飲食店を救うべく動き出した。キャンセルが相次ぎ、このままでは食材が無駄に…。まさに「食材の寿命を伸ばし、かつ旨味もアップさせる」熟成シートの力を生かせる局面。果たして…。

■アイデア勝負の高級缶詰で食品ロス削減!

・「食べられるのに処分されてしまう」肉を絶品缶詰に!
サバ缶などの流行でいまや食卓には欠かせない「缶詰」。この缶詰を使い、「食品ロス」を解決しようというベンチャー企業がある。大阪の「カンブライト」。社長の井上和馬さん(41)は、食品ロス削減のため約5年前に脱サラし起業。これまでに様々な独自の缶詰を商品化してきた。
たとえば、卵をとった後の親アマゴ。年間かなりの量が処分されていたが、これを酒粕に7日間漬けこみ「アマゴの酒香漬」として缶詰に…。また、規格外のため年間数十トンが処分されていた小さなサツマイモを「焼き芋」の缶詰にした。「日本には価値があるにも関わらず、人の口に運ばれない食材が多く存在する。もったいない。これらを活用し一次産業や地域の食品加工会社を盛り上げ、将来に繋げていきたい」というのが井上さんの思いだ。
井上さんの元には、「食品ロス」に悩む生産者や加工会社などから月に20~30件の相談が舞い込むという。2019年12月。岐阜県郡上市にある高級ハムメーカー「明宝ハム」と鹿肉を扱う「ジビエ工房めいほう」から「缶詰」を作りたいという話が…「明宝ハム」は、国産豚肉を使いハムやソーセージを加工、「ジビエ工房めいほう」は鹿のロース肉などの部位をレストランやスーパーに卸している。しかし、ぞれぞれ加工や精肉の過程で、「すじ」や「脂身」が大量に残ってしまうため、何とかしたいのだという。依頼を受けた井上さん、どこにも無い独自の缶詰作りに乗り出した。いったいどんな商品が出来上がるのか?
続きを読む