“幸せ食堂”の365日~コロナで気づいた理想と現実~

2020/06/30(火)22:00
 京都にあるステーキ丼専門店「佰食屋」。1日100食限定、ランチ営業のみだが、連日行列ができる人気店だ。飲食業界では珍しく「残業ゼロ・週休2日制」を実現させた店としても知られる。オーナーの中村朱美さんが目指したのは、店の売り上げを増やすより、従業員の自由な時間を優先する新しい働き方。そんな中村さんのライフスタイルは、多くの人々の共感を呼んだ。
 しかし、緊急事態宣言解除後の6月、再び中村さんの店を訪ねてみると、客の行列は消え、複数の店舗が閉店に追い込まれていた。さらに、大切にしてきた従業員たちも多くを解雇したという。“飲食業界の風雲児”に何が起こったのか......中村さんの挫折と再起を追った。

「幸せ食堂」初めての挫折 閉店・解雇も…

佰食屋オーナーの中村朱美さんが、去年6月にオープンした「佰食屋1/2」。1日100食限定のステーキ丼店「佰食屋」で培ったノウハウに磨きをかけ、さらに効率的な働き方を追求した新店舗だ。メニューは「キーマカレー」と「ビーフライス」のみ。1日50食限定で、毎日6時間働けば、夫婦2人で年収500万円を稼げるビジネスモデル。中村さんのもとに全国から寄せられる「幸せな働き方をしたい」という声に応え、フランチャイズ展開も模索していた。
しかし、オープンからしばらくすると客足が鈍り、25食すら売れない日が続出。中村さんは「佰食屋1/2」の失敗を認め、いったん店を閉じ、全面リニューアルすることを決意する。そこへ追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルス。店内飲食は営業自粛となり、テイクアウトとデリバリーでつなぐことに。それだけでは収まらず、2店舗の閉鎖と従業員の解雇を迫られることに。果たして中村さんは立ち直ることができるのか…

飲食店+副業!? やりたいことを両立できる幸せ

東京・目黒にある「ゴーストキッチンズ」。中華料理やタイ料理など7つの宅配レストランを運営する。厨房はわずか5坪。それでも月商500万円を売り上げる。売れ行きの悪い“レストラン”はすぐに閉鎖。代わって新業態の店をネット上に開き、トライ&エラーを繰り返す。実店舗がなく、変わり身が早いのが「ゴーストキッチンズ」の独自性だ。
ここで働いている人はプロの料理人ではない。「ゴーストキッチンズ」で調理をしながら、カメラマンや家業の手伝いなど、自分の好きな仕事を両立させている。勤務は8時間だが、働きたい時間帯を選べて、一般飲食店レベルの月給がもらえるという。
代表の吉見悠紀さんは、飲食業界の課題となっている長時間労働や低い利益率を、“1キッチン複数業態”で改善できるのではと考えた。飲食店に勤務しながら、他にやりたい仕事ができ、そこそこの給料がもらえる。そんな理想は実現できるのか…
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