新時代の“絶品”グランプリ~コロナ禍に負けない生産者たち~

2020/12/22(火)22:00
コロナ禍で日本全国の生産者がピンチに陥る中、時代にあった新しい手法で“絶品”を生み出し、生き残ろうとする人々がいる。その舞台は、年に1度、生産者たちが競い合う“絶品グランプリ”。キーワードは、“他者とのコラボレーション”と、“オンラインでの繋がり”だ。埼玉のネギ農家は千葉のレストランと、熊本の酪農家は全国のシェフやスイーツ店と繋がるなど、生産者たちはあの手この手で新たな絶品を生み出そうと動いていた。このコロナ禍に、いや今だからこそできる新手法で挑む、新時代の生産者たちの挑戦を追う。

◎ コロナ禍でも絶品グランプリ開催…今だからこそ生まれた意外な可能性
農家などの生産者が毎年、自らの生産物を元に、異業種とコラボして“絶品グルメ”を生み出して、地方予選、そして全国大会で競い合う、「にっぽんの宝物」グランプリ。ここで評価されたら販路が開け、スター農家たちも続々誕生している。このグランプリ、例年なら、各地でセミナーを開き、マッチングした相手と何度も会ったりして絶品を作り上げていく。しかしコロナ禍では、集まることも気軽に会うこともできなくなった。主催者の羽根拓也さんは「コロナ禍を逆手に取った新しい可能性が期待できる」と、今回も開催を決めた。まずは地方での大会が始まった。その一つ1都4県の関東地域が集まった「圏央道グランプリ」。羽根さんは今回、埼玉の会場から、東京・神奈川・千葉・茨城の4会場をオンラインで繋ぐ新たな形で実施した。これまでは地元同士の組み合わせだったが、これなら、県を跨いだコラボが生まれるはず。さらにこれらの地域は圏央道という道路でつながっていて、リアルにつながることもできる。セミナーに参加した埼玉県・深谷市の農家、持田さん。「リーキ」という長ネギよりも倍ほど太い西洋ネギを全国に広めようと考えていた。その持田さんとオンラインで繋がったのが千葉にあるレストラン。店内に大きな水槽を構える地元で人気の店だがここ数か月コロナの影響を受けていた。そこへ、東京・多摩の農家も加わって・・・。これまでにないコラボでどのような商品が生まれるのか…その県を超えたコラボに注目しているのが、地元の信用金庫だ。今回のグランプリは、埼玉・千葉・多摩・平塚・水戸の5つの信用組合がバックアップ。地元にそれぞれいいものはあるがその地域に留まっている。県を超えたコラボが実現すればビジネスチャンスが広がるというわけだ。コロナ禍に負けない、地域全体を巻き込んだ大きな動きが生まれていた。

◎グランプリ優勝で大人気のヨーグルト 思わぬ危機を救ったのは・・・・
2年前の「にっぽんの宝物」グランプリで日本一に輝いた、熊本の酪農家・大薮裕介さんと沙紀さん夫婦。それまでは知る人ぞ知る商品だった絶品のヨーグルトがグランプリを機に広く知られるようになり、今では食のセレクトショップ「ディーン&デルーカ」でも取り扱われるなど、全国区の人気となった。かつては手取り月5万円だった時代もあると言う大薮さん夫婦だが、ヨーグルト製造工場も建て、順調に売り上げを伸ばしていた。しかし、5月、沙紀さんがSNSでまさかの事態を告げる。「私たちオオヤブデイリーファームは危機的な状況です。助けてください…」。売り上げの4割を占めていた取引先がコロナの影響で突如破産。被害総額は数千万円に上り、連鎖倒産の危機に陥ったのだ。それを救ったのが、SNSを通じた繋がりだった。ファンやグランプリで戦った仲間たちが支援を呼びかけて、多くの人が購入してくれたおかげで倒産の危機は回避できたのだ。感謝する大薮さん夫婦には新たな思いが・・・。「この繋がりを生かして次の展開を考えられないか」。そこで新たに知り合った小売店のバイヤーやレストランのシェフたちとオンラインで繋がりながら、新商品を開発することにしたのだ。全国のファンも応援する中、新たに生まれた絶品とは・・・。
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