“分子1つ分の厚さ”史上最薄のプラスチック開発 東大

2020/07/21(火)18:30
東京大学の研究チームは、
わずか“分子1つ分の厚さ”の、
史上最薄のプラスチックを合成する手法を開発したと発表しました。

研究チームが注目したのは、
MOF=多孔性金属錯体というナノサイズのすき間を持つ材料です。

今回研究チームは、すき間が0.8ナノメートルのMOFを作り、
それよりもわずかに薄い、1分子の厚さ0.7ナノメートルのスチレン分子を
すき間に入れて閉じ込めました。
この状態でスチレン同士をつなげる化学反応を起こし、
MOFを溶かして除去。
これによって
プラスチックの一種であるポリスチレンを、
分子1つ分の厚さの極薄の状態で
合成することに成功したということです。

このように、MOFを”鋳型”として活用することで、
限界まで薄くしたプラスチックを大量に合成することができるとしています。

東京大学植村卓史教授
「Q今回の研究の意義は
Aプラスチックを薄く伸ばしたシートは、電子材料や接着コーティング、医療分野など幅広い応用がある。ただ、こういう材料は軽量化や高機能性が求められるので、どれだけ薄いシートを作れるかが重要。ただ単純にプラスチックフィルムを引っ張ったり、薄く塗ったりしても、分子レベルで均一な厚みを持つシートはなかなかできない。だが、今回MOFのもつ分子レベルの空間を、ナノサイズのフラスコとして使うことで、たった1分子の厚さしかない、これまでで最薄のプラスチックを大量に作ることができた。

Q極薄プラスチックの性質は
Aプラスチックは高分子という、長い鎖状の分子からできている。普通のプラスチックでは、この高分子の鎖が絡み合っているので、力を加えると変形し、はなすと元に戻ろうとする。しかし、今回の極薄プラスチックでは、鎖が網のように広がっているので、絡み合わない。なので、同じ高分子の鎖でできているにも関わらず、性質が全く異なって、スライムのような流動性を示す。

Q応用先はどんなものが考えられるか
Aプラスチックの硬さや柔らかさを制御する添加剤、潤滑剤としての利用が考えられる。また、接着剤とか医療用シートとか、あるいはスマホとか車のコーティング剤などにも使えると思う。

Q実用化に向けたハードルは
A製造コストを下げるために、鋳型としてのMOFを再利用することが重要。研究室の実験では一度きりの使用だが、鋳型を再構築して何度も利用することは可能。なので、実用的な製造プロセスを開発することはさほど難しくないかもしれない。」

※引用元
●論文:Nature Communications
Nobuhiko Hosono, Shuto Mochizuki, Yuki Hayashi & Takashi Uemura, Unimolecularly thick monosheets of vinyl polymers fabricated in metal?organic frameworks

●プレスリリース:東京大学のHP
史上最薄の高分子樹脂を開発
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