コロナに思う♯2 辻仁成 作家・ミュージシャン

2020/04/06(月)23:00
各界の著名人によるリレーメッセージ「コロナに思う」。2回目のきょうは作家でミュージシャンの辻仁成さんです。現在はパリに在住し息子さんとの暮らしなどをブログやSNSで発信しています。都市封鎖された街からのメッセージです。

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フランスは3月17日からロックダウン(都市封鎖)が始まり、もうそろそろ3週間になろうとしています。このロックダウンが始まってからの3週間の中で僕の考え方、意識は大きく変化しました。

今まで毎日カフェに行って友達と会って食事をして、メトロに乗ってワイワイ騒いでいた日々がなくなったわけです。それが失われて、それが一変して、価値観や世界観、生活の仕方、経済のあり方、政治の見方、それから我々自身の未来像まで、全てが一度リセットしなければならない状態に来ました。

息子は学校に行けなくなり、家で勉強しています。毎日勉強しています。毎日勉強しているけど、親としては何のために勉強しているのかさえも考えなければならない状態になり、そしてその親側の僕たちは、どうやって子どもや家族や、それから自分たちの仕事を続けていけばいいのかということさえも、これから先、コロナ戦争が続く中で考え続けていかなければならない岐路に立たされているわけです。

人類は、いま大きな節目に立たされたと感じていいと思います。この先、いつ収束するか分かりません。

フランスも、このロックダウン(都市封鎖)が解除されたとして、じゃあその日からまた再び元の生活に戻れるかというと、そうではないのです。そこから徐々に徐々にまた周りに気をつけながら、いったん冷えついた人間の心理は容易に外に向かわすことはできないでしょう。前みたいにカフェでみんなと騒いでワーッと飲むということはできなくなると思います。そういうヨーロッパの価値観、ハグさえも、握手さえもできなくなるのではないかと思っています。

感染者がゼロになるのはいつかわかりませんし、これからまだ1年2年3年続くのではないかとも言われています。我々の、今まで想像していたことを絶するくらい、想像を大きく超えるくらいこのコロナとの闘いは大変だということなのです。その中で、人類、人間一人一人がどういう心構えで、心の備えで生きていくかということが、新しい価値観も含めて、自分たちがどういう人間になっていくのかがこれから非常に大事になると思われます。

まず、今現在は、僕たちは家から出ない。ウイルスは人から人に感染するものですから、その複製を止めることは人間が人間と接触しないということなので、政府の指導を守って家から出ないということは大事だと思います。

心の備えを持って、まずは家にいてください。僕たちも家にいます。
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