コロナに思う♯14 田中耕一 02年ノーベル化学賞 島津製作所

2020/04/22(水)23:00
各界で活躍する人によるリレーメッセージ「コロナに思う」。今夜は、ノーベル化学賞を受賞した分析技術を使って、アルツハイマー病の原因とされるたんぱく質の検出に成功した島津製作所の田中耕一さんです。今こそ日本が世界に貢献できると言います。

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島津製作所の田中耕一です。感染症と対峙している今とその後に関し、科学技術に携わる一人として皆さんにお伝えしたいことがあります。

2016年11月、北九州市小倉で世界中医師会-世界医師会が開催されました。テーマは「One Health」(ワンヘルス)。人も動物も健康に、人獣共通感染症を防ぐため、世界が協力しようと解釈できます。それ以前も以降も世界でさまざまな進展があり、対策がなされてきました。しかし、今回の新型コロナウイルスの猛威に対しては不十分でした。2016年に基調講演を行わせていただいた自分として、これまで何をしてきたか考えさせられます。

この数か月、感染を抑えるために今まで当たり前のように行っていたことで、できなくなったことがたくさんあります。しかし今だからこそ、今まで考えてもいなかったようなことができている。そんな面もあります。

その一つが異分野融合、異業種連携です。医療・創薬に無関係と思われていた企業や大学、個人が交流し、次々に成果や製品が発表されています。イノベーションの芽が育っています。

技術革新と翻訳されている「イノベーション」は経済学者のシュンペーターらによって作られた言葉。その当初の定義は「新結合」「新しい捉え方・活用法」です。今までなかった組み合わせや捉え方をする。そんなたやすく行えることでも、たくさんのイノベーションが生まれてきました。

エイズやがんはイノベーションによりかなり克服できましたが、さまざまな感染症による世界への悪影響はこれからも増えると考えられています。感染症は大きな課題です。それに限らず、日本には少子高齢化のようないくつもの課題がある”課題先進国”とも言われています。

しかし、日本はこれまで公害、交通渋滞など多くの課題を率先して解決してきた”課題解決先進国”でもあります。現在も目の前の課題を解決するため、多くの方々が知恵を出し合い、努力を重ねられています。大いに自信を持って良い点の一つだと思います。

それら課題を解決するみなさんの知恵、工夫はこれからの日本だけでなく、世界にも貢献できると思います。私自身も頑張ります。
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