コロナに思う#39 イアン・ブレマー氏 国際政治学者

2020/06/09(火)23:00
リレーメッセージ「コロナに思う」今回は、国際政治学者のイアン・ブレマーさんです。世界経済の今後についてブレマーさんはアメリカと中国の対立により急激な変化が起こる可能性を指摘しました。

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コロナ危機は少なくとも3年は続き、経済は10%以上縮小するだろう。最大の懸念はどれほど多くの雇用が失われるか。コロナによる最大の変化は過去10年の問題が急速に進行することだ。経済格差は今後1年半で急拡大し、10年分の変化が1〜2年で起こる。

米中対立も10年かかる変化がこの1~2年で起きるだろう。私が最も心配しているのは米中の対立だ。今は米中の相互依存が薄れ、技術をめぐる”冷戦”が起きている。米中は互いの技術に投資せず、互いに介入を許さない状況だ。米中の溝は深まり、その影響は経済の他の分野にも広がるだろう。

政府は企業の倒産を防ぐため、何兆ドルという資金を投入している。納税者は海外の供給網ではなく、国民のために税金を使えと言うだろう。ナショナリズムやポピュリズムが国際供給網を妨げる原動力になる。

米中間の不信が強まる中で両国で人件費は上昇している。米中にまたがっていた供給網を国内に戻す動きが強まるだろう。米中関係の悪化や破壊的技術供給網の変化が急激に加速する。

10年かけて起きるような変化がわずか1〜2年の間に起きる。それは非常に破壊的なことで世界の地政学を変えるだろう。民主主義や自由市場の有効性や正当性も変えてしまうだろう。世界を緊張が覆うことになる。
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