コロナに思う#41 医師 清田明宏氏

2020/06/16(火)23:00
各界で活躍する人によるリレーメッセージ「コロナに思う」。今夜は、およそ550万人のパレスチナ難民を支援するUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の保健局長を務める医師の清田明宏さんです。

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コロナの時代に最も大事なことは決して誰も置き去りにしない。特に社会的弱者を決して置き去りにしないことです。世界中の社会的弱者を支援しない限り、コロナを抑え込むことはできません。ウイルスは国境、人種、地理的な壁、政治的な壁、あらゆる壁を越えて広がります。ウイルスにとってわれわれの違いは全く関係ありません。全ての人に新型コロナウイルスはうつる可能性があります。

それでは、なぜ社会的弱者なのでしょうか。私が仕事をしているパレスチナ難民は、過去70年以上にわたって難民生活を続けています。難民の数は約560万人。いまだに難民キャンプに住む人もいます。彼らは社会的弱者です。

そして、その国の医療政策に必ずしも取り込まれていません。国連が資金援助をしない限り、新型コロナウイルスの検査や治療が受けられないことがあります。もし受けられないと彼らのコミュニティで新型コロナウイルスが広がります。そして、その国に広がり、その地域でも広がります。パレスチナ難民は経済的弱者です。新型コロナウイルス対策の経済的インパクトを最初に、強烈に受けます。失業や収入低下で生活が脅かされます。新型コロナウイルスで命が脅かされ、生活全体が脅かされます。

それでは、どうすればいいのでしょうか。公正で包括的な、医療だけでなく経済、社会、あらゆるものを含んだ対策が必要です。その中で社会的弱者を決して忘れないこと。彼らのニーズに応えていくことが大事です。そうしなければ新型コロナウイルスを抑え込むことは不可能になるからです。

日本にできることはなんでしょう。日本の国際協力は実は非常に高く評価されています。特に人道支援。困った方への現場に寄り添い、ニーズに反応する。そういう支援を日本はずっと続けてきました。弱者にフォーカスした支援を続けることが重要だと思います。新型コロナウイルスがわれわれに掲げる本当の問いは、われわれはいったいどのような社会を作りたいのか。どのような世界を作りたいのか。社会的弱者を含め、いかに公正で包括的な”決して誰も置き去りにしない”をどのようにして作りたいのか。それをわれわれに問いかけていると思います。
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